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Netflixドラマ『アドレセンス』。不安定な思春期の危険性とは。感想/レビュー


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Netflixで話題の英国ドラマ『アドレセンス』を観てみました。

4話完結とあって、サクッと観れるので軽い気持ちで見ましたが、、、話題になるのが納得の作品。

 

こういった社会派ドラマは、ぜひ若い世代に観て欲しい。今も昔も、思春期の持つ不安定さは変わらないのだと、思い知らされるその内容とはーーー。

 

💡在学中、発達心理や臨床心理を学んでいた私は、心理士や生活安全課の警察になりたかったこともあり、少年犯罪という分野は、非常に興味深い内容でした。

第3話の少年と心理士のやり取りは、必見です^^

 

『アドレセンス』の作品情報

画像引用元:Netflix「アドレセンス」のクリエイターが語る“マノスフィア”の深層──その引力に潜む危うさ | WIRED.jp

『アドレセンス』は、2025年3月から配信されている、Netflixのリミテッド・シリーズの英国ドラマ。

日本でも配信直後に「今日のトップ10」で6位にランクイン。世界では、71ヶ国で1位を獲得するほど話題となった作品。

 

原作は無く、イギリスで急増するナイフ犯罪に対する応答として、スティーヴン・グレアムによって構成されたオリジナルドラマ。

 

💡話題になった理由の一つに、「全編編集無しのワンカット撮影」というのがあります。

そこも注目して観ると、おもしろいかもしれないですね^^

 

大まかなあらすじ

画像引用元:Netflix『アドレセンス』 本作デビューの少年の演技に世界が注目:日経クロストレンド

ドラマは、突然13歳の少年が、同級生の女の子の殺人容疑で逮捕されるところから始まる。

イギリス・ヨークシャー北部の小さな町の一軒家に住む13歳のジェイミー・ミラー(オーウェン・クーパー)。ある朝、突然警察の強制捜査が入り、ジェイミーの両親や姉が動揺する中、署へと連行されていく。

 

涙ながらに、「何もしていない」と無実を訴えるジェイミー。取り調べ立会人に父親を指名し、ジェイミーは無実を主張するのだが、果たしてその真実は…?

 

本作品の背景にある英国の問題

現在、カナダ在住の私ですが、イギリスのニュースや情報にはあまり詳しくなく、本作品によって、イギリスの抱える問題を知るきっかけとなりました。

 

英国では、昨今、子供の素行の悪さや、ナイフによる殺傷事件が問題視されているといいます。
SNSを使った新しいタイプのいじめや嫌がらせも横行し、子供たちは心理的なストレスによって心を蝕まれている...。

 

eikoku-seikatsu.com

 

また、英国では『マノスフィア(manosphere)』と呼ばれる女性軽視によって束ねられた、「男性こそが真の被害者だ」という考えで団結するネットワーク/コミュニティが影響力を強めています。

 

こうしたマノスフィアに惹かれ、劣等感を多様性のせいにし、過激な思想を持つ若者が増えている(それによって、女性や少女に対する暴行が増えている)というのが、英国では「国家的緊急事態」であり、「流行」レベルに達している。というから、なんとも恐ろしい。

 

⚠️日本では、「男性性」「女性性」という括りでの過激な思想はまだあまり見られませんが、最近のポリコレが行き過ぎると、こうした偏った思考を持つ者が出てきても、おかしくはないですね。

 

SNSの抱える問題とは

本作品は、ネット社会での子供たちの抱える問題が浮き彫りになっています。

生まれ持った性格、先天性の障害、家庭環境、学校や社会での環境、時代背景などさまざまな要因が、思春期の子供たちのパーソナリティを構成する要素となる、その本質は今も昔も変わらないでしょう。

 

しかし、便利なSNSも、上手な付き合い方を分からないうちは、人格形成に大きな影響を及ぼすといえるのかもしれません。

 

『大人たちの知らない世界が子供にはある。

SNSを使う様になって、「いじめ」や「他者との比較・劣等」「ネット依存」さらには、「対面コミュニケーションスキルの低下」といった問題が、若者層を中心に悪影響がある。と言われています。

 

こうしたメンタルヘルスとSNSの関連性は、多くの研究者や専門家の間で注目されており、思春期から青年期の脳の発達において脆弱な時期のSNSの頻繁な利用は、うつやメンタルヘルス悪化のリスクが高いと言われています。

 

過剰なSNSの利用によって、睡眠障害が起き、SNSを観て他者と比較し、劣等感に苛まれ、自尊心が低下し、そこへ自殺・自傷行為など有害なコンテンツに触れていく。

というような、負のループへの入り口となりえる可能性が高いと指摘されています。

少し前だと、「テレビゲーム」が同じ問題で指摘されていましたね。

いつの時代も、思春期の子供が触れるものの影響というものを、我々大人が管理していかないといけないと思わされます。

 

私は、子を持つ親ではありませんが「急に出てくる大人な広告」や「規制なしで流れる殺○シーン」を某SNSで観てしまった時は衝撃でした。

これ、子供もみるんじゃないの!?って。


得ようと思わなくても得てしまう情報。知らず知らずのうちに大切なお子さんの脳を蝕んでいるかも。

ただ「便利だから」「売れるから」とやみくもに開発するのではなく、そういった影響も考えた上で、うまく制限機能など付けて欲しいですね。

 

『アドレセンス』を観た感想/レビュー

画像引用元:Netflix『アドレセンス』 本作デビューの少年の演技に世界が注目:日経クロストレンド

こういう「少年犯罪」を扱った作品は、子を持つ親なら観ておきたいものでしょう。

「自分の子は絶対に大丈夫。」「子供を守るために正しく教育できている」

果たして、本当にそうなのでしょうか?

 

あなたは、このドラマを観て「掛け違えたボタン」はどこだと思いますか?

 

⚠️ここからは、ネタバレを含みます。観てから見たい!という方は飛ばしてくださいね^^

 

まずは、他の方が高く評価している「ワンカット撮影」に関して。

正直な話、私は無駄なシーンが結構あるな。と思ってしまいました、素人ですみません💦(少しだけ画面酔いした…。)

とはいえ、その技術が評価されているとあったので、きっと凄いのでしょう。分かる人はそこも注目ですね^^

 

普通の家族とは?親が子に与える影響

肝心の内容ですが、正直いろんな部分で「イライラした」のというのが率直な感想。

というのも、私の個人的な意見ですがまず、父親が、我が子が殺人を犯している監視カメラを見た時のシーン。

「あぁ、なんて事を。。」と言いながら、最後に抱きしめるんです。息子を。

...え? フェイクだと信じたくても、そんなもの見たら、まず怒りがきませんか?人の命を何やと思ってるんかー!って、怒りませんか?

映像が本物か、何があったのか言いなさい!って、なりませんか?

第3話の心理士との対話で、「父が、サッカーで失敗した僕から目を背けた」と語るシーンがあるのですが、息子ジェイミーの自己肯定感が下がっていった要因となったであろう父。

その父が、明らかに悪い事をしているかもしれないのに、抱きしめるって。かわいそうだと思ったのか。また目を背けるのか。(一緒にするべきではないかもしれませんが、サカキバラセイト事件の母親を思い出してしまった。)

 

そして、またまた父親ですが第4話で、車に落書きをした子供達にキレるシーン。

奥さんは、「らしくないわよ。」なんて言ってたけど、明らかに父親の機嫌で空気が変わる。家族の。毒親とまでは言いませんが、みなが振り回されるし止められないあの空気。

私の場合は、母親がその傾向があったのですが、母親がそうだと娘が。父親がああだと、息子が影響を受けますよね。

「していい事と悪い事も分からんのか。」と怒鳴り散らかすのですが、一番言うべき相手は我が子でしょ。あなたの子にまず、その言葉をぶつけなさいよ。って思ってモヤモヤ。

 

描写としては、分かりやすく毒親でもなく機能不全家族でもない。暴力も無ければ、いたって普通の家庭。

と、他のレビューでは読んだのですが、私は、「子供って、思ったより親の顔色伺ってるんだよ。」と思う。(この作品を見る限り、ジェイミーは明らかに父の影響が大きいように感じる)

 

顔色をうかがう場面が多ければ多いほど、そしてその際「自己肯定感が下がれば下がるほど」子供たちは、人格形成に支障をきたしていくというのに。

 

最終話で、「主張を変える」と言い出したジェイミー。それはつまり、殺害を認めるということ。それを聞いたあとの夫婦の会話も、はぁ?となってしまった。

「癇癪もちだったから早くやめさせれば良かった」
「姉は良く育ったから、私たちはよくやった」
「いい父親よ。」
「育て方間違ってないよね?」

 

何を言っているんだろうこの人たちは。とポカーン( ゚д゚)としてしまった。

 

素晴らしいとしか言えない。心理士の面談

第3話の心理士ブリオニーの面談の回は素晴らしいの一言

決して、距離を近づけず、適度に突き放し面談の舵をしっかりと取るブリオニー。

 

💡在学中、臨床心理の研究室で教授から、「この研究生13人の中で、一番カウンセラーに向いていないのはあなた。」と言われた私。

「情をかけたり、親身になったりしてはだめ。カウンセリング対象者というだけ。という距離を取れないなら、向いていない。」

その意味がはっきりと分かるシーンでした。(やっぱり、私には無理そうですね💦)

 

面談の中で明らかに、自己愛性パーソナリティ障害の傾向を見せるジェイミー。

父親の話になると、拒否反応を示すところから、「そこにジェイミーのインナーチャイルドがある」と、しつこく聞いていくあたり、リアルだった。

 

主導権を握られたくないジェイミーの必死の抵抗にもひるまず、挑発にも乗らず、この心理士さんお手本のようなんじゃないか。と思いました。

 

そして更に、一度退室したあとモニターでジェイミーを冷静に観察し、再び戻ってからは椅子を横につけた

この描写もすごい!と思いました。。。さらに踏み込むからなのか、興奮し、転移を起こしている(起こしそう?)だからなのか?(ここから完全にブリオニーが主導権を握りましたね。)

 

💡心理学において、「座る位置」はクライアントとの関係性・距離感に関連があるとされています。

「対面」「斜めに対面」「横」の3つの位置関係で、最も好感を持ちやすいのが「斜め」といわれています。

大人のカウンセリングで「横」に座る事は用いられるケースは少ないのですが、幼児に心理検査を実施する場合には、緊張感を和らげるため、実施される場合もあるという。

 

防衛反応からか、感情の振れ幅が大きいジェイミーに対して「どう感じたの」「なぜそう思ったの」と否定も同調もしない距離感。これかなり難しいですよね、、、すごい。

 

プロとして、ジェイミーが何を思って、どんな行動をしたか、善悪の判断能力はあるのか、まで聞き出せたブリオニーは目的を達したので、「今日で最後」と告げます。

人の命を奪っておいて、これから裁判があるというのに、最後に「僕の事好き?人として」。と聞くジェイミー。

 

きっと、どこか自分のしてしまった行為を、赦して欲しい。無条件に受け入れて欲しい。そう思ったのかもしれない。
そんな母を思わせる姿をブリオニーに重ねている気がして、気持ち悪く感じてしまった。

 

最後に、ジェイミーの食べかけのパンを持ち帰れなかったブリオニー。このシーンが一番好き。「うっ」ってなっていましたね。

暴れた事への恐怖?そんなわけありません。

きっと、悪びれもせず、というより悪い事をしたと理解すらせず、「落ち込んでいる時は落としやすいと思ったからデートに誘った」と言うジェイミーが、また、自分に母親や殺害した同級生の姿を重ねていることが、気持ちが悪かったのでしょう、心の底から。

 

真実を引き出してしまった。そして心理士としては何もできることはない。攻撃的になったジェイミーに対し、平常心を保とうと張りつめていた。そして、自己愛の強いあまりにも未熟な精神を受け入れてくれ。と向けられた。

その全ての感情が、あのサンドイッチの「うっ。あぁ無理。」に込められているのではないでしょうか。

 

13歳。日本でも、10代の少年犯罪は増えつつあります。

子供への、大人や周りの環境が与える影響は、計り知れないものがあります。人道、道徳、社会性...いいお手本になれるよう、心しておかなければいけませんね。。

 

▶この映画もおすすめ。毒親父と息子。なぜ少年は無差別殺人を犯したのか。

saruboro.com

 

まとめ

第3話の心理士の回は、かなり引き込まれちゃったので、何度も観てしまいました!

これ、実際のセラピストに取材してるのかな?と思う程細かい部分まですごい。

色々な見方があるとは思いますが、あなたはどう観るでしょうか。『アドレセンス』。是非、観てみてくださいね^^