
独立。飲食店開業。料理人として働いた方は、みな一度は通るのではないでしょうか、
「自分のお店を持ちたい」
という道。
しかし、現実は厳しいもので廃業率が高いのも飲食の特徴。
料理人20年の経験の中で、成功した店・1‐2年で潰れてしまった店どちらも見ましたが、夢だけでは到底食べていけない。非常に厳しい世界でした。
この【海外で飲食起業シリーズ】では、実際に私が海外で起業するまでに経験したリアルと、その数字を出せる限り赤裸々に出していきます。
これが正解というわけではありませんが、そこで得た気付きを紹介しますので、海外で飲食起業したい人は、是非参考にしてみてくださいね^^
- 独立願望と経営力は別
- 売りたい物より売れる物
- 準備する自己資金は開業資金の3割?
- 価格の付け方。どんぶり勘定とは?
- コスト計算と管理
厨房を回せれば経営できるという勘違い

初めて「自分のお店を持ちたい」と思ったのは、20歳そこらだった。
当時、アルバイトから始めた定食居酒屋で、そのまま料理人として働くことになったのです。
とにかく料理が好きで、「一生この仕事できたらな」という思いは、次第に「自分のお店を持つ事」へとシフトしていき、まさしく夢見る少女。
当時の私は、ただ忙しい厨房を回す料理人見習い。
- 原価率なんて知らない
- 固定費って何があるの?
- 損益分岐点とは?
- そもそも店のコスト管理わかってない
こんな状態のペーペー。
それでも、「いつか独立するんだ」なんて思っていたんだから恐ろしい💦
この店ではトータル6年ほど勤務しましたが、成功していたお店だったので「自分もお店を出せばこうなる」と勘違いしていた時期ですね、、恥ずかしい。
経験は価値。各視点での経験を積もう

それでも、この料理人という経験は価値のあるものでした。
コスト管理全般はまだ未経験でしたが、料理人として働ける知識は得ていたので、カナダでの日本食レストランの立ち上げシェフとして雇用。
そこで役に立った知識は、
- 日本食のレシピ製作
- 厨房内の動線管理
- 厨房オペレーション導入
- メニュー開発
- 仕入れ、仕込み全般
この辺りですね。。
もちろん雇えば良いかもしれませんが、立ち上げ時から余分な人件費として出ていくのでそこを自分自身で担えるのは強みですよ^^
因みに、この時のオーナーは私を初めから雇いましたがシェフ分の資金も計算済みと言ってました。
シェフとオーナーの視点
先でも紹介しましたが、シェフの視点はあくまでも厨房内からお客様までの範囲。
しかしこれがオーナーとなると、厨房・ホール・店舗全体・お客様・仕入れ業者・店舗の家主・銀行など、それら全ての範囲を把握しコントロールする必要があります。
シェフは、お客さんの喜ぶものを出したい(3掛けすれば利益とれるだろ)
オーナーは、利益が取れるものを出したい(もちろんお客の満足度も大事)
と、視点に少しズレが生じてきます。
もしも経営をしたいのであれば、この「オーナーの視点」をまず学ばない事には、成功はないと思って良いでしょう。
価格の付け方 / どんぶり勘定は絶対アウト
私は有難いことに、このお店での経験が大きく舵を切ることになりました。
オーナーが、いずれ独立したい私の為に、
- 現実にどんなお金がどのように出ていくのか
- コスト管理ということ
- 固定費を抑える重要性
を、隠さず見せてくれたのです。
この時に学んだコスト管理やコントロール、*FLコストって?*損益分岐点って?という数字の構造は、起業準備をする上で最重要なものとなっています。
Food(食材費)とLabor(人件費)の合計コストのこと。飲食店では、合わせて60%以下にする必要があります。
※損益分岐点:
売り上げと経費がちょうど釣り合い、利益が0円になる点のこと。これをしっかり把握する事で、必要な販売数を出すことができます。
メニューの価格を付ける際も、「ただ3掛け」と思っていましたが、実際には
- 周りの店舗とのバランス
- 自店メニューの構成バランス
- 3掛けを(原価)×3と勘違い
と目から鱗なことばかり。
それだと、Foodコストは33%になっちゃいますね💦
正確には、(原価)÷(原価率)=売値
そこに、周りの店舗とのバランスなどを見て価格を決めていきます。
もっと全体的な店のバランスを見なきゃいけなかったんですね。
私の経験上、この二つを全く意識せず、「なんとなくどんぶり勘定」をしていたお店、2つとも廃業に追い込まれました。
それもわずか1~2年で。
▼1つは、友人のラーメン屋(カナダ)
長く同僚として働いていた友人A。寿司屋を営む弟の強い勧誘で「3人の共同出資」でラーメン屋を開業する事に。
レシピは韓国から購入。友人Aがマネージャー兼オーナーとして毎日休まず出勤。
大掛かりな工事も施したため、掛かった開業資金はおよそ8000万円!
友人の事を悪く言うつもりはありませんが、経営に関しては全くの未経験。
損益分岐点も計算しておらず、家賃を3日以内に稼げればOKとだけ意識していたが半年で赤字転落。
後で聞いたが、固定費である家賃が恐ろしいほど高い!(毎月150万円越え)ラーメン何倍売れば利益がでるのか。
単純に計算しても、30日営業で目標日商5000ドル(約50万円)。
ラーメン一杯18ドル(約1800円)だとして1日277人のお客さんが必要。
席数は確かに50席あったが、5回転半。きつい、それはきつい。
お酒で客単価を一気に上げないと厳しい場所だったという事がわかりますね。
客単価は大体70~80ドル望めるので、60~70客数/日。届かなくはないですね。
▼もう1つは、私が監修した寿司レストラン(日本)
そしてもう1つの廃業に追い込まれたレストランは、実は私が監修した寿司レストラン。
カナダの永住権を取る前、3年間だけ日本に戻って仕事をしていたのですが、その時に勤務していた会社で寿司屋を出させてもらう事に。
この経験談は、経営する上でかなり役に立つ話だと思うので、次回の記事(#02)で深堀します^^
あまり思い出したくないですが、失敗を知る事は成功の第一歩。
本気で開業を目指しているなら、是非読みに来てくださいね✨
海外起業するにはまず資金

いろいろ言ってはいますが、海外で飲食店を開業したい!と思うならやはりまずは「資金」です。
もしあなたが日本で開業したい!というのであれば、開業資金の3割ほどを自己資金、あとは融資を受ける。という方法もあります。
しかし、ここカナダではそれが非常に難しい!
家族もいない。持ち家もない。起業経験もない。
そんな状態の外国人に、誰がお金を貸してくれますか?
また、日本では場所にもよりますが、飲食店の必要初期投資額は1000万円と言われています。
それが、ここカナダになると、最低でも2500万円はないと厳しいです。
まずスタート時点で2.5倍もの資金を調達しなければいけない。成功すれば、まさにハイリスクハイリターン。でも失敗すれば...😱
この「資金をどう調達するか」は最大のミッションになることでしょう。
他人資本の誘惑
資金の調達。外国人じゃ連帯保証人もいないしどうすればいいのよ!と頭が痛いですよね。
調達方法として考えられるのは、以前の記事でも紹介しましたが
- 自己資金(貯蓄)
- 家族の協力
- 友人の協力
- 金融機関や公的機関からの借入・融資
- 国や自治体の助成金制度
- 投資家や出資者を探す
- 共同経営者を探す
- クラウドファンディング
辺りが現実的ですが、借り入れや融資、助成金などは初めての経営ではかなり難しいと思った方が良いようです。
となると、結局「誰かに借りる」か「出資・投資してもらう」か「クラウドファンディング」か、または「共同出資」か。
この他人資本の誘惑は、「飲食起業したい!」と発していればお誘いの声もあると思います。
しかし、どの手段を選んだとしても
- いくらあれば始められるのか
- 毎月の固定費や損益分岐点は?
- 何ヶ月赤字に耐えられるか
- 共同出資の場合、主導権を取るにはいくら必要か
こういった細かい数字は必ず明確にしておきましょう!
これでは、ほぼ雇われオーナー。当時はお金もなくその道しかないと思いましたが、今思うと実現しなくて良かったな。と思います。
(もちろん、素敵な方でしたがビジネスは何があるか分からない。主導権は必ず取っておくべきでしょう。)
この記事の戦略ポイント
- 独立願望と経営力は別
- 売りたい物より売れる物
- 準備する自己資金は開業資金の3割?
- 価格の付け方。どんぶり勘定とは?
- コスト計算と管理
- 共同経営なら、必ず主導権を取ろう
まとめ
カナダで飲食店開業したい!そう思って色々と調べたくても、日本語の情報は見つからず。周りに聞いても、正確なお金の話は濁される。
そんな私が、当時どうしても欲しかった情報を「次世代の飲食店経営者へ」向けてここに記しておきます。
動いた者しか見れない景色がある。失敗を糧にした私の経験談。少しは役に立つ...かもしれませんよ^^



