
海外で飲食店を起業したい!夢を抱く挑戦者を応援したい!
そういった思いで、この20年間の経験から学んだことを赤裸々に公開中。
そんな【海外で飲食起業シリーズ】、#02は「開業前に必ず知っておくべき数字の重要性~失敗から学ぶ~」です💦
前回の【海外で飲食起業 #01】最初に考えるべきは「夢」ではなく「資金」
で触れたどんぶり勘定がいかに危ないか。を実際の失敗をもとに解説していきます。
つい、やってしまいがちな「ある事」。実は利益を食いつぶすことになるかもしれませんよ...。
- 食材原価だけコントロールしても無意味
- サービス・割引の落とし穴
- 細かい数字(試算)が成功の鍵
初の完全監修で逆輸入カナダ寿司屋を開店

それまでカナダで就労していた私ですが、一度完全帰国しようと3年ほど日本へ戻った時期がありました。
その時働いていたのが、某ステーキレストランの会社。
新店舗の店長募集で採用していただき、ステーキ屋で働く日々。
そんな私が、会社のプロジェクトで「逆輸入カナダ寿司屋」を開店することになったのです。
これが私にとって、人生最大の大失敗となる経験になるとは思ってもいませんでした...。
キッカケは事業計画ノート
何故ステーキ屋さんで寿司レストランを始めたのか?
キッカケは、事務室に置きっぱなしにしていた私の個人的な「事業計画ノート」でした。
カナダにいた時にお世話になった社長さんから、「独立を夢見るなら、事業計画を綿密に立てておけ」と言われ、書き留めておいた事業計画書。
簡単な殴り書きで、6W1Hに則って書いていました。
▼6W1Hとは?
- Who (誰が)
- Whom (誰に)
- What (何を)
- When (いつ)
- Where (どこで)
- Why (なぜ)
- How (どのように / いくらで)
自分の中で、
「カナダで経験したオシャレで綺麗なロール寿司、日本でも逆輸入で流行るのではないか?」
なんて思い、カナダ風ロール寿司専門店を計画していたのです。
もう、何が起こったかは想像できますね?そう!そのノートを社長に見られてしまったんです💦
「店長、ここ...辞めるの?」
「この寿司食べさせてよ。良かったら、新規プロジェクトとしてやってみる?」
...当時32歳。やってみたい!! でも本当に日本で受け入れられるのか?
突然のお話で、その責任の重さを私は考えれていませんでした。
カナダでの経験で自信はあった
正直な話、カナダで立ち上げ担当させてもらったレストランは超黒字経営!だったので、生意気ですが妙な自信はありました。
(忙しいレストランを経験したシェフあるあるだと思うのですが💦)
今思うと、そこが黒字を維持できたのは誰でもないオーナーの経営力。
しかし、まだ若かった私は「カナディアンの口に合った料理が当たった」と勘違いしてしまったのですね。。
忙しいレストランで原価管理していたから大丈夫だろう。と安易に「やりましょう」と受けてしまいました。
もちろん料理の味も大切ですが、それと同様に数字管理‼ 厨房しか見えないと、9割詰みます。
数字を甘く見た結果...3ヵ月で閉店

スケルトン(居抜き物件でなく、何もない状態)物件だったので、開店前の社長との話で
- 私が厨房内のすべてを管理(設備・レイアウト・発注・原価/人材管理)
- 会社(社長)側が、それ以外の経費計算を管理
で立ち上げようという話でまとまり、早速物件探し・図面作成へ。
レイアウトに関しては、カナダのレストランで経験済みだったので
「どのように配置し、最小限の人件費で効率よくまわせるか」
に重点を置き、これは達成できていたと思います。

オープン当初、社長が広告費にお金をかけてくれたので
- 各テレビ局(地方)の取材
- 地方雑誌の取材
- アプリへの加入
など、導入しました。(当時まだSNSがそこまで拡散力なかった)
テレビ効果もあり、ありがたいことにお客さんが押し寄せ、手が回らない忙しさになったのですが、、、開店して1ヶ月目。「利益が出ない。」との報告が。
これには、「なぜ!? こんなに毎日忙しいのに?」と驚きましたが、そのカラクリはすぐに発覚しました。
食材原価は30%以下なのに?
ここまで読んで、「原因はここだろうな。」とピンときた方は、経営の全体が見えているのだと思います。
しかし、当時わかった「つもり」の私は、本気で悩みました。
飲食業のランニングコストの構造は大まかに以下の表のようになっています。
社長に任された私の担当は、この表では一番上の「食材原価」。
(因みに、私以外にもう一人社員がいたので、人件費に関してはノータッチでした。)

なぜ...?食材原価はしっかり30%以内に設定しているし、中には20%切る商品も。
在庫は抱え過ぎない様にしているし、*歩留まりだって計算済みなのです。
しかし、私に報告してくるという事は、食材原価やバイトの人件費で問題があるのだろう。と悩みに悩みました。
仕入れた食材のうち、実際に使用できる割合のこと。
飲食では、「家賃は2~3日で稼げ」という言葉があるのですが、これは
「家賃は売り上げの10%以下に」
ということ。
お店の家賃は15万円。オープン初月の売り上げは日商5万越え...。
店休日無しで営業していたのでここも大きく外していないはずなのです。。。
それなのになぜ??? 原因は、ついやってしまいがちな「ある事」でした。
客寄せサービス・割引の落とし穴

その原因は、、、なんと
- 配り過ぎたクーポン券
- デザート無料券
- 10食限定!赤字覚悟メニュー
…でした。
正直な気持ちは、「社長が勝手にやったんじゃん。」と思ったのですが、オープン当初から押し寄せるお客さんが持っていたのが、このデザート無料券。
味にこだわりをと言われ、手作りで用意していたデザートは、ほとんどのお客さんに「無料で」提供していたのです。
更には、
- テレビを観たお客様限定の割引サービス
- 10食限定の特大サービス丼
など、出れば出るほど赤字のサービス。
事前に相談があったのは、10食限定サービスのみだったので、度々渡されるクーポン券に驚きを隠せませんでした。
経費計算しているんだろう。と甘く考えていました💦
また、社長は見た目と感覚で値段を指摘してくるので、原価250円のロール寿司を「最初だけ650円で出す」と言って値段を改定。
それでは利益が取れないので、利益率の高い「原価の掛からない商品も入れたい」と申し立てはしたものの、実現に至るほど説得できませんでした。
こんな営業をしていたので当然なのですが、過度なサービスが影響し、計算していた原価率30%は崩れ去っていたのです。
責任は重大、降格・減給処分へ
言い訳に聞こえてしまうかもしれませんが、正直な話この「サービス配り」に関しては、別経費でやっているのかも。なんて考え、何も追求しませんでした。
テレビの影響も終わり、少しずつ減りつつある客足に焦った社長は、
「来たお客さんには、次回使える無料デザート券をあげて」
と、サービスを続行。
セット価格350円、単品では480円のデザートをほぼ無料で出し続けるって...そりゃ利益でないでしょって話です。

そしてオープン2か月目が終わる頃、悪夢は一本の電話から始まりました。
社長「おい、原価45%ってどういうことだよ。店長、説明して。」
!!!!!! 原価率45%!!? サービスばっかりしてたら当然ですよ!と喉まで出かかりましたが、当然責任を取る事に。
自分でも確認を怠った責任は重いと感じ、結局、店長降格&減給処分となってしまいました。
この失敗は大きな財産

「そんな当たり前の事、何故気付かなかったの?」
と思うかもしれません。
しかし、想像してみて下さい。この
- サービス券発行・配布
- 何パーセント引き
- 無料チケット
- 赤字覚悟!限定食
って客寄せでやりがちなんですよね💦
もちろん、やる事が悪いわけではありません。
きちんと、都度都度数字をコントロールしていれば、集客に有効だと言えるでしょう。
しかし、それはきちんと数字を管理していれば。なのです。
- 何食までサービス出せるのか?
- *損益分岐点は?
- 席数は?
- 客単価は?
- 必要日商目標は?
- 必要客数は?
こういった細かい試算を出しておかないと、たった何%のズレが命取りになってしまうと、身を持って体験しました。
※損益分岐点:
事業の売上高と経費がちょうど±0になるポイントのこと。これを下回ると赤字となります。
当たり前の商品価格を「もったいない」と感じさせ、自ら価値を下げさせてしまったんですね。
この記事の戦略ポイント
- 食材原価だけコントロールしても無意味
- サービス・割引の落とし穴
- 細かい数字(試算)が成功の鍵
まとめ
今回のお話は、もうあまり思い出したくなかったのですが💦、きっと誰かの役に立つ!そう信じて公開しています。
美味しい料理を提供する。これはもちろん大切なのですが、それ以前に意識するべきなのが「数字」。これに尽きます‼
たったの何%、原価率や人件費率が増えただけで赤字転落はよくあること。
細かすぎるほどの試算。常に電卓を弾く癖をつけておきましょう!!



