「コロンバイン高校銃乱射事件」___1999年に起きたこの事件は、世界中を震撼させました。
米国の銃規制問題や、少年犯罪など様々な問題を当時多くのメディアが報じていましたが、未だ変わらず銃社会の米国。
一体どのようにしてこの事件は起きたのか。その日に何が起きていたのか。に焦点を当てた映画『エレファント』。
派手なエンタメ映画ではない、再現のような撮り方が私に思考の時間を与えてきます。
銃社会の米国の闇と、スクールカーストにおける思春期の子供たち。あなたもこれを観たら、きっと事件の本質を知りたくなる___。
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『エレファント』の作品情報
© Gus Van Sant / Fine Line Features – Image via Film-Grab.com
1999年に起こった「コロンバイン高校銃乱射事件」をモデルに描かれた、無差別殺人事件が起きた高校の一日をドキュメンタリー風に描いた青春群像劇。
監督・脚本・編集は、「小説家を見つけたら」のガス・ヴァン・サント。
2003年のカンヌ国際映画祭で、最高賞のパルム・ドールと監督賞を同時受賞した話題作。R-15指定作品。
キャッチコピーは「キスも知らない17歳が銃の打ち方は知っている」___。
プロの役者は3人のみ、しかも大人だけ。生徒はすべて「実際の高校生3000人」からオーディションで選ばれたというから驚き。
セリフや役どころには、彼らの実際の生活を盛り込んでいて、ほぼアドリブ。(台本なしで、面談をしながらその場で作っていったため、非常にリアル)
役名も、彼らの本名を使用し、よりリアルな高校生活感を出したというのには驚いた。
劇中、女子高生3人組がご飯を食べた後に、すぐトイレで戻すシーンがあるのですが、「これがこの子達と話して、取り入れたリアルなシーン」だというのにはショックでした。
スクールカーストにおけるルッキズムの重要さ。太ったら虐められる。モテない。じゃあ、食べたもの無かったことにすればいいじゃん。という思考。___恐ろしすぎます。
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『エレファント』の大まかなあらすじ
© Gus Van Sant / Fine Line Features – Image via Film-Grab.com
舞台は、米オレゴン州ポートランド郊外の高校。
この学校の生徒たちの日常が、いつもと同じように淡々と過ぎていく。
いじめを受ける生徒、酔っ払いの父に手を焼く生徒、写真家志望の生徒、女子グループから熱い視線を受ける容姿端麗な男子生徒、女子グループに陰口を聞こえるように叩かれる内向的な生徒。
どこにでもある、一般的な高校の日常。荒れた学校というわけでもない所謂、普通の高校。
しかし、それは突然おぞましい惨劇の場へとかわる。二人の生徒が、武装し校内へ侵入、無差別に殺戮を始めた。次々と、まるでシューティングゲームのように銃を乱射する2人。一体何故___。
見どころは、派手な演出のない群像劇
なんといっても、この映画の見どころは「長回しで映し出す*群像劇」でしょう。
※群像劇
複数のキャラクターを主人公格にすることで、あらゆる視点からエピソードを描いていく物語構造。
明確な主人公を置かない場合が多く、さまざまなキャラクターの心情を個々に映し分けることで、興味を引く方法。
この銃撃事件が起きるまでの高校生活の様子を、それぞれの生徒の視点から映し出し、カット割りや長回しなどのカメラワークで上手い具合に交差させる見せ方には感動をおぼえるほど。
正直な話をすると、何度も出てくるシーン(視点が違う)もあるので「あぁ、はいはい。この時この子はここに居たのね。」と思いながら少し早送りで観ましたが(😳)、そうして何度も違った角度から見るうちに、位置状況や校内の造りなど把握できていくのが素晴らしい。
この、長回しの群像劇が合わない人には合わないと思います。(”映画”的な映画ではなく、日常をリアルに表現しているため。)
しかし、突然起きる実際の事件ってこうだよなぁ。と、あの悲劇が起きるまでを生徒が動画記録していたらこう写っているんだろうな。と感じることができる巧みな映画だったと思いますね。
モデルとなった「コロンバイン高校銃乱射事件」
画像引用:Photo by Rocky Mountain News, via Denver Public Library Special Collections
この映画のモデルとなったのは、冒頭でも述べた「コロンバイン高校銃乱射事件」。
アメリカ合衆国コロラド州ジェファーソン郡のコロンバイン高等学校で、1999年4月20日に発生した銃乱射事件。
同校の生徒だったエリック・ハリスとディラン・クレボルドが銃で12名の生徒と1名の教師を射殺したのち自殺。重軽傷者は24名。
1999年当時では、1966年に起きたテキサスタワー乱射事件に次ぐ規模で、世界中を震撼させました。(後に33人の死亡者を出したバージニア工科大学銃乱射事件が起きた)
後に報道された事件の背景では、犯人である2人は同行の一部の生徒からいじめの対象になっていたという。(生徒の証言あり)
事件発生までの間に撮っていた2人のビデオ:「地下室テープ」(犯行動機を説明したビデオ)も見つかっており、その様子からは忌まわしく、憎しみに満ちて、差別的で、人を侮辱するような言葉を並べ立てていたといいます。
2人は、何故ここまで追い込まれたのか。いじめだけが原因なのか。
もし、あなたが深くこの事件を知ってみたいと思ったのであれば、是非概要を調べてみてください。
『エレファント』を観た感想/レビュー
© Gus Van Sant / Fine Line Features – Image via Film-Grab.com
映画が始まってすぐは、「ん?誰が犯人なんだろう?」「なんだこれ?セリフも進行に関係なさそうだし、どういう撮り方?」と不思議だと思います。
しかし、その生徒たちの日常を観ている内に、じわじわと迫りくる ”その瞬間” のリアリティが増してきます。
私たち視聴する側も、一緒になって「何がいつ起きる?」「誰がどうなる?」と考えながら観る事で、すっかり引き込まれてしまうから素晴らしい。の一言。
はっきりとした原因や感情を一切表現しないので、我々観る側が考えることで成立する映画といえるでしょう。
この映画では、悲劇を大袈裟に表現しようとしていません。「こんなことが起きて、こんなに悲しみに暮れた」という表現は皆無といってよいでしょう。
しかし、長回しで高校生の日常を観ている内に、「普段の生活で起きる突然の悲劇」はそうした淡々とした、なんでもない時間に突如起こるものなんだ。と思い知らされます。
いじめが原因だったにせよ、皆殺しという手段を選んだ2人。きっと、相談しても動かない教師たちや傍観する同級生たちも皆同罪だ!という強い憎しみがあったのかもしれません。
失敗していなければ、仕掛けた爆弾の爆発で数百人が亡くなっていたかもしれないが、そこまで反社会的な思想になったのはなぜなのか。
犯人である2人が自殺してしまったことから想像・分析しかできませんが、そうした犯人たちの声なき思いを「考えさせられる」作品でした。
息子が殺人犯に__加害者の母の告白
今回、事件の概要を調べていく中で一冊の本を見つけました。それが、この「息子が殺人犯になった__コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白」。
犯人であるエリックとディランのうちのディランの母親、スー・クレボルドによる手記なのですが、母親として息子の本心に「全く気付かなかった」ことへの後悔や悲しみ、贖罪の思いが綴られています。
エリックとディランは「地下室テープ」と呼ばれるビデオテープを残しており、事件の数週間前からカメラに向かって語りかける様子を収めていました。
この映像の中で、母親であるスーは初めて「かつて見た事の無い息子の姿」を観て、衝撃を受けたといいます。(捜査関係者にとっても衝撃的で、彼らもまた自宅に戻ると子供部屋の検査を始めたという)
「親だから、子供の事くらい知っている。」という考えがいかに傲慢で妄信的か。ということを表す事件だったのではないでしょうか。。。
本書は、心理学や犯罪学の専門家、捜査関係者などの解釈も交えながら、ディランの動機を考えていくのですが、子を持つ親は是非一度、読んでみる事をおススメします。
▼「アドレセンス」も親子の相互理解の問題が描かれていた
抗うつ薬の影響の疑い
犯人2人の内の1人エリック・ハリスは、遺体を検死したところ、体内からフルボキサミンの成分が大量に検出されました。
このフルボキサミンをはじめとする抗うつ薬(SSRI)は、24歳以下の者が服用した場合攻撃性や衝動性が増長するという副作用が報告されていたといいます。(精神的な不安定さを抱えていたエリックは、精神科医から処方されていた)
事件後、遺族らがこの薬を販売する会社を告訴したものの、事件との因果関係を証明できていないので、「この薬が原因だ」とは言えませんが、少なからず若い青年の精神に影響はあったのではないかと考えられています。
まとめ
調べれば調べるほど、家庭環境に問題がある様にもみえず、中流階級の家庭で育った子供たちに見える2人。
高校にも大きな問題がある様には見えず(いじめを真摯に捉えないなどは、どこも同じといえば同じであるが故)、比較的学力もある高校だった___。
それでも、こうして事件は起きたわけで、思春期の子供の精神はいとも簡単に反社会的に染まるということを目の当たりにした気分になりました…。
母親の手記にもある「私は何を見落としたの?」という言葉。家族なら気付いて当たり前。というのは幻想...なのかもしれませんね。